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「ATRN」さんの航海日誌

ATRN'S LOGBOOK

「ATRN」さんの単独沖縄クルージングその5 屋久島~宮崎県 9月9日~10日

台風一過を狙い三日後、屋久島に戻った「ATRN」さん。

不具合の発生した航海計器は、パソコンに強いオーナーが、電話でのやり取りで、自力で修正。(恐れ入ります。)

屋久鹿の生レバーに舌鼓を打ち、体力をつけた「ATRN」さんを待ち受けていたのは・・・

まだまだ残っていた台風の余波。

「ボートが半分海中に突き刺さってる」

「盛り上がった波に日が当たりエメラルドグリーンになって不気味」

「後ろから波につかまれる」

体験したからこそ、言える表現が並びます。

外洋の高波の恐ろしさは、あれだけこまめに撮影していた写真が無い事でも伺えます。

何とか、宮崎県川南漁港に逃げ込んだ「ATRN」さん。

すると今度は、体の不調が・・・・

ここを乗り切れば、ゴールは見えそうです。

がんばれ」と思わず声を掛けたくなる、その5をどうぞ

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飛行機の窓から1

飛行機の窓から2

9月 9日

11:22 飛行機で屋久島へ向かう途中、上空から撮影。

大きな雲の間に小さな白いブツブツが白波です 海が荒れていますね。

今夜は栗生漁港でボートで泊り、明日の早朝に出航なので波もマシになるだろうと予測する。

空から種子島

11:48   種子島上空 外海に面していない島の西側は波も無く穏やか。
行きに西之表を夜間出航して、大雨、高波、雷の夜間航行した場所なんだなと思いだす。

しかし海の色が美しい

屋久島空港

12:01  屋久島空港に到着 さすがに雨の屋久島と言われるように、天気が悪いです。

先ほどの種子島と全然違います。

世界遺産屋久島 女性達だけで山登りや観光に来られる方達が多いです。

もののけ姫の舞台になったのも人気の一つですね。

12:05  屋久島空港には、N さんが車で迎えに来て下さいました、本当に有難うございます。

N さん、三岳酒造の愛子 有難うございました。一升瓶全部飲みました、美味しかったです。

N さんと空港で昼食をとり、ボートに積む飲料水や食料品を買い込み・・・
屋久島のお土産を買いに行きました。

沖縄では、ちんすこーを買い、屋久島では塩キャラメルナッツクッキーを買って帰った。
女性のお土産には、塩キャラメルナッツクッキーが良かったようだ。
屋久島の神秘という名のお菓子です。

栗生漁港

14:30  栗生漁港に帰ってくる、I さんのお蔭でボートは無事です。I さんボートの管理有難うございます。

ボートに戻って まずレーダーを動くように設定します。

FURUNOの金井さんと携帯電話でやりとりをしながら、NAVNETの設定をしていきます。

当初FURUNOスタッフに宇和島か愛南かわうそ村で合流し、設定をしていただく予定でしたが・・・

可能であれば自分で設定をしたいと思い、金井さんに教えていただきながら取り掛かりました。

初期化するのも難しく、リセットボタンを押して初期化する簡単なものではなく、
教えていただかないと、自分ではどうにもならないな というレベルである。

色々な事を試し、時間も1時間2時間と経過します。
金井さんも西宮でこちらの装備している同じ状況を作って取り組んでいただいたようです。

やっぱりレーダーは動かないかな、もう夜の航行は出来ないなと思いながら作業していると・・・
レーダーが動いたんです 3時間程経過してから 感動です。

金井さん!レーダーが回りましたよ、NAVNETでもレーダーの画面が確認出来ますよ!」
金井さん、「凄い!凄い!」電話で興奮状態です。

沖縄沖の夜間航行と違い、瀬戸内の夜間航行はレーダーが無いと本当に危ない。
これで夜間航行が出来る 本当に嬉しかった。

金井さんのお蔭です。根気強く丁寧に教えていただいたお蔭です。
本当に金井さんの説明は分かり易い、 有難うございました。金井さん!

屋久島の夕日

17:57 辺りが段々と暗くなりだす 西に沈む夕日を見ながら、明日は出航出来ますようにと心に願う。

屋久鹿の生レバー

18:38 そして、T さんにご招待をしていただき、最後の鹿肉料理です。
新鮮な鹿の生レバーです。 ごま油と塩でいただきました。

この味何年ぶりかなぁ~ 牛より美味しいんです。
牛より危険らしいけど、免疫ついてるから、何食べても大丈夫なんですよね~

生レバーめっちゃ沢山食べました。
うますぎ!マリン大阪の中島さんにも食べさせてあげたい~~

生レバー握り

18:51 また凄い料理が出てくるんです。
なんと!鹿の握りです これ美味しいんです~ 甘くて甘くて本当に美味しい。

T さんは鹿の美味しい部分を熟知してるので、大阪ではこの鮮度とこの味は食べれませんよ!

生レバーかたまり

レバーのかたまりです。この日N さんと二人で殆ど食べました。
焼き肉屋さんでは、最初に生レバーを何皿も食べるくらい大好きなんです。

調理をするTさん

18:51 T さん、いつも有難うございます。笑顔が素敵ですよ! 御馳走様でした。

DFRキャビンでカラオケ1

DFRキャビンでカラオケ2

21:18 そして御馳走になったお礼にカラオケに誘います。
このマイクを持たれているN さん小林旭めちゃうまなんです。

21:24 T さんご夫婦。 夫婦揃ってお上手。
T さんの屋久島エレジーは印象に残っています。

栗生漁港防波堤

栗生漁港

9月10日

06:01 栗生漁港防波堤 海は穏やかそうにみえる。 出航する事にします。

06:13 お世話になった栗生漁港 さよならです。

第八武丸さん

06:26 なんと、初めて漁港に入ってきた時にお会いした漁師さんが・・・
沖の浅瀬を抜けて、近道を教えてくださると言う。 有難かった~ 栗生の人は良い人達ばかりです.。
この漁師さんは武丸船長と言います。

白いシャツの男性が、I さんです。
I さんに最初に声を掛けていただいて、知り合って。 最後にIさんにお見送りをしていただいて・・・

また飛行機で必ず来ますからと約束し別れる。 I さんありがとう。

武丸さんの誘導

06:28 栗生漁港港内 武丸船長についてゆきます。

左・口永良部島

06:32 左に見える小さな島が噴火した口永良部島です。
噴火した当時は屋久島の栗生にも噴煙が舞ってきたそうです。

武丸船長が誘導してくれます。助かります。

さようなら

06:36 ここからは一人です。
武丸船長有難うございました!漁港では漁や操船でトップクラスの船長さんだそうです。

凄い船長に見送っていただけて、なんだかパワーをいただけたような気持ちになります。

屋久島海峡

06:48 屋久島海峡に近づくにつれ、波が高くなりはじめる。
左斜め前から波を受ける感じになる。 あたり一面白波がたつ。

時計回りでなく、反時計回りでルートをとればよかったと後悔する。

宮之浦沖

08:07 宮之浦港沖航行中、大隅海峡方面を見ると、竜巻っぽい雲が見える。
この何日か前に九州の沖で竜巻が発生し、漁船が転覆しているというニュースを見ている。

こっちには近づいてこないでほしい。

屋久島から直線的に大隅海峡まで向かう予定であったが・・・
波が高くなりはじめていたので、 種子島の東側を航行する事にした。

これで種子島宇宙センターを見る事が出来そうです。

種子島宇宙センター沖1

08:59  種子島宇宙センターの沖航行中 ロケットは見当たらない

種子島宇宙センター沖2

09:02 種子島宇宙センターの前の岩場に当たる波の大きさがすごい。 ビルの5階くらいの高さまで上がっているようです。

その後、種子島の東側を問題なく航行し種子島と大隅半島の中間くらいまでさしかかると・・・
急に波が高くなり、風が強くなり、ボートが激しく上下する 大荒れです。
どうやら東から台風17号のうねりが入ってきているようだ。

西からは黒潮の流れがあり、北からは強風が吹き始めた。
波の動きが読みづらい、 とりあえず、船首からは経験した事のないくらいの波をかぶる。そして波にささる。
やばい、ボートが半分海中に突き刺さってるイメージです。

これが大隅海峡の怖さかと思う。この沖縄航海で1番怖い思いをした場所だ。
天気は良いが、海は大荒れ、白波で真っ白である。 航行速度も3ノットしか出せない。

時折、ボートがローリングした時に横から波がたくさん入ってくる。
船首と横と半端ない量の海水が入り込む。

フロントガラスは波をかぶりっぱなしで、ワイパーが片方動かなくなった。ワイパーは意味ありません。
サテライトコンパスの高さまで波がかぶっていたと思う。

とにかく怖い、荒れた海は本当に怖い。
ボートが転覆しても、海面に浮いて、泳ぐ事が出来ないような荒れた状態である。

波が盛り上がって、盛り上がった部分に日が当たり、エメラルドグリーンになっている。 不気味です。

周りを見ても、漁船やタンカー フェリーも1隻も見当たりません。

3ノットの速度は、進んでるかどうか体感的にはわからないくらいです。

ただボートの向きだけは、しっかりと波の来る方向に向けた。とにかく長い時間緊張したのを覚えている。

志布志湾まで走ろうと、怖さと戦いながら少しずつボートを進めます。

そして志布志湾近くに来ると、波がかなり収まり10ノットから15ノットで走れるようになります。
志布志湾で退避を考えていたが、そのまま航行する事にします。

14:00 愛南かわうそ村で、給油の約束をしていたので、四国方面へ向かおうとすると・・・
東からうねりを伴った波が激しくボートに襲いかかる 「またか・・・」

志布志湾近くで、一瞬穏やかだったので、天候などの情報を調べずに油断していた。

場所は宮崎沖日向灘です、とにかくボートの右舷側から大きな波がぶつかってきます。

これもまた今までに体験した事のない大きな山のような波です。
波の周期が長く、一つ一つの波が大きい。
最初は盛り上がる程度の波でしたが、徐々に大きな波になり、波のてっぺんで白波を巻くようになってきました。

波は大きくなり、一つ波を乗り越えると3階か4階建てくらいの高さから降りるような感じになります。

天気予報ではうねりを伴った波で3.5メートルとなっている しかし、もっと波は大きいように感じます。

山のような波が横から来るので、前には進めず・・・
大きな山のような波を乗り越えるのもだんだんと恐ろしくなり、宮崎に退避しようと決断する。決断が遅いなと思う。

宮崎は寄港する予定が無かったので、なんの情報もなく手間どりましたが、宮崎県川南町に漁港がありそうだ。
漁港の入口周辺に浅瀬がないか等を地図で確認します。

海岸から数マイルまで水深10メートル程と浅い。
この大きな山のような波を背中に受けながら、漁港に入れるか心配です。

斜め右に走るようにしているので、なかなか川南市に到達しません。
とにかくここの沖も大きなうねりで、ボートが激しく揺られ、とうとうテレビの台が根本から折れてしまいました。

左、右、左、右とジグザグに走っている。
左に船首を向けた時に何度も波に後ろをつかまれているようになった。
波の大きさが本当にデカイ、山が迫ってくるようです。

大隅海峡のように沖のど真ん中で、どこにも逃げる事の出来ない状態と違い、陸が近くにあるので少し安心です。

そして川南漁港の沖くらいになった時に船首方向を岸に向ける。
やはり後ろから波につかまれる感じがする。

漁港入口まで来ると、テトラの防波堤があり大荒れになっています。

入口が分かりづらい、しかし止まっている事も出来ないのでテトラの防波堤とテトラの防波堤の間に船首を向ける。

その時一瞬後ろからの波に押されたのか、波に乗ったのかわからないが、コントロールを失う。

運よく防波堤と防波堤の間を抜けれた。荒れているともの凄く狭く感じる。

テトラ帯に突っ込まなくて良かった~ 荒れた時に知らない港に入るのは本当に怖い。

そして漁港に入ると湖のように穏やかでした。

ボートを横付け出来る岸壁があったので、そこに接岸。
ここで大きく息を吐く 「疲れたー 助かったー」

燃料が少なくなっていたので、ボートが揺れて燃料にエアが噛み、沖でエンジン停止にならなくて良かった。
エンジン停止していたら、防波堤に突っ込むか大きな波で横転していたかもしれない。
本当に助かった。

16:00 川南漁港の漁協長に、岸壁使用の許可をもらいに漁協事務所へ挨拶に行きます。
漁港長は良い方で明日出航するのならと許可をいただいた。有難うございます。

この漁港は結構大きな漁港で、漁船の数も多くマグロ船まで停泊しています。
接岸時にロープを受けてくれた人達がいて、とても有難かった。

漁師さん達の話を聞くと、今は一隻も沖に出ていないらしい。 今の沖の状況でよくボートで走ってこれたなと、ビックリされる。

すぐに燃料の手配をする。
また今夜宿泊可能なビジネスホテルが近くにあるらしい。 近くといってもタクシーで10分はかかります。

しばらくするとタンクローリーが来て下さいました。今回の航海で燃料に関しては全てスムーズでした。

iphoneの純正マップ機能の検索窓でガソリンスタンドと入れるだけで、現在地近くのガソリンスタンドと電話番号がでてくる。
沖縄航海でiphone大活躍。 画像も全てiphone撮影。 GPS機能で写真を撮影した位置と時間がわかる。

少し漁港内も波がざわつきだした。
漁師さんが港内の海中に発生した渦を見て、ここに渦が出来るのは沖が、 かなり荒れているという事だと言っていた。
渦で海水が濁りだしているのがわかる。

タンクローリーが到着し、給油が始まる。 ボートが揺れだしていたので給油するのが難しかったと思う。
しかしこの給油スタッフの方は一滴もこぼさなかった。すごい!
軽油はこぼれると臭いが残り 気持ち悪くなる 洗ってもなかなか臭いが消えない。
10度目の給油 402リットル。

寿石油有限会社 0983-22-1487 川南漁港まで来てくれます。

18:00 タクシーを呼び、ビジネスホテルへ向かいます。

ホテルでシャワーを浴び、ホテル内のファミリーレストランへ向かう。
食事が終わると、急に寒気がしてくる なんだか熱っぽい。

普段はクーラーをつけて寝るタイプだが、服を何枚も着重ね布団をかぶってクーラーをかけずに寝た。
それでもなんだか寒気がとまらない、とりあえず風邪薬を飲む。

大隅海峡と日向灘の大荒れから解放され、疲れがでたのだと思う。

明日は夜明けに出航する予定です 体調が良ければいいのですが・・・

つづきは・・・ATRN」さんの単独沖縄クルージング最終回へ